痛みの治療方法は、薬物療法、神経ブロック療法、筋膜リリース注射、理学・運動療法、手術などがあります。痛みの原因や程度は患者さん毎に異なるため症状に応じて治療を組み合わせ、患者さん一人ひとりに合った最適な治療を行います。治療の目標は痛みと不安の軽減ですが生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)の向上をまずは目指します。
神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経周囲に局所麻酔薬やステロイド剤を注射して痛みを和らげる治療法です。保険適応です。即効性と血流増加による筋緊張緩和が期待できます。
帯状疱疹に対して薬物療法でも痛みがある場合、神経ブロックで患部に薬を注入することで痛みが軽減されます。発症後3ヶ月経つと治りにくくなるため早めの神経ブロックが推奨されます。
神経根や末梢神経に42℃以下の低温の電気刺激を行ってから麻酔薬を注入します。
椎間板ヘルニア、関節痛、頚椎症性神経根症、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛やしびれに有効で他の神経ブロックよりも長時間効果が期待できます。
脊椎や関節の末梢神経に90℃の前後の熱を加えて痛みを長時間遮断します。
変形性脊椎疾患や関節痛、圧迫骨折、癌性疼痛に有効です。
肩関節周囲炎(五十肩)による肩関節拘縮、凍結肩で肩の動き(可動域)が著しく低下した肩関節に対して、局所麻酔をして肩の痛みや動きを抑えた状態で医師が関節を動かして癒着をはがす治療方法です。関節の可動域の改善が期待できます。
RACZカテーテル(特殊なスプリングガイドカテーテル)を背骨の間の硬膜外腔に挿入し、レントゲンを見ながら正確にカテーテルを痛みやしびれの原因となっている神経の周囲まで進めて生理食塩水で癒着を剥離して薬液を注入します。数時間で帰宅可能です。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、脊椎手術後の神経周囲の癒着が原因の痛みやしびれに有効です。
筋肉のこりや筋・筋膜性疼痛に対して生理食塩水(体液と同じ組成)を超音波(エコー)ガイド下に筋膜や筋肉、結合組織のFasciaに注入して症状を軽減させます。
患者さん自身の血液中の成長因子を抽出し、濃縮したものを注射する再生医療です。炎症を抑え、組織修復を促進し、関節や筋肉の痛みを軽減します。
腰椎椎間板ヘルニアや椎間板性の腰痛に対してレントゲン透視下にブロック針を進めて麻酔薬とステロイドを注入することで椎間板ヘルニアの炎症とヘルニアの退縮が期待できます。